Materials
桜皮
樺細工は山桜の樹皮で出来ており、樹皮をはがしても再生する環境に優しい素材です。
その語源は万葉集の長歌の中で、山桜を「かには」と表現したものが後に「かば」に転化したと言われています。
山桜の樹皮の表情を生かしたものは「霜降皮」、樹皮を薄く削り研磨したものは「無地皮」と呼ばれます。
茶筒のように日々手に触れるものは手沢によって光沢を増し、山桜独特のつやを保ちます。
樺はぎ
樺剥ぎは8〜9月にかけて、主に東北の山中で行われます。この時期の山桜は水分をたっぷり含んでいるので、山師が特殊な道具で樹皮に切れ目を入れると、樹皮が幹からきれいに剥がれます。剥いだものは束ねて持ち帰り、工場の天井等で約2年間十分に乾燥させてから加工されます。立ち木から樹皮を剥いでも、全体の3分の1程度であれば枯れることはなく、剥いだ箇所は樹皮が再生し、貴重な「二度皮」として用いられます。近年、桜皮は山師の減少、気候の不順などにより、採取量が減少傾向にあり、その希少性は年々高まっています。
樺の仕上
桜皮の原皮は灰褐色で表面はざらざらとしています。その質感をそのまま用いたのが「霜降皮」で山桜の自然な表情を楽しめます。霜降皮は表情が良いもののみが使われ、より貴重な素材です。原皮の表面を削ると赤茶色の層が現れます。それを磨いて光沢が増したものは「無地皮」と呼ばれ、桜皮独特の色艶を讃えています。職人が一枚、一枚手作業で削りと磨きを繰り返し、自然の「樹皮」から素材としての「桜皮」が生まれるのです。